「
Somebody to Love」というと
クイーンの曲を思い浮かべる方が多いだろうと思うが、僕は
ジェファーソン・エアプレイン(Jefferson Airplane)の「Somebody to Love」も大好きだ。クイーンの曲は
フレディ・マーキュリーのボーカルがすばらしい名曲だが、ジェファーソン・エアプレインの曲も最大の魅力はボーカルだ。何といっても、
グレース・スリック(Grace Slick)の硬質でクールなボーカルがかっこいい。彼女は
ジャニス・ジョプリンなどとも比較されたりするが、この頃のカリスマ性とかっこよさと美しさは圧倒的だ。もっともっと聞きたいところで曲は終わってしまう・・・。『シュールリアリスティック・ピロー』に収録されている、ジェファーソン・エアプレインの代表曲である。

←通常盤
Surrealistic Pillow
←輸入盤・視聴可能
このアルバムには他にも、グレース・スリックのコーラスにぞくっとくるロック・ナンバー「
おかしな車」、厳粛な美しさを持つ「
トゥデイ」、絶妙にひねりの効いたメロディとコーラスが新鮮な「
D.C.B.A.」、アコースティック・ギターの圧倒的なソロ演奏「
旅する前に」など素晴らしい曲が入っている。そして、このアルバムからのもう一つの大ヒット曲が「
ホワイト・ラビット」だ。ルイス・キャロルの『
不思議の国のアリス』のモチーフがふんだんに使われたとても不思議な雰囲気の曲である。女王の城の兵士の行進を思わせるスネア・ドラムのロール、それとあいまって実にスリリングなベース・ライン、全体が徐々に上昇していくという曲構成、そして、グレース・スリックのクールに激しいボーカル・・・。これはもう、本当にすごい曲だ。
ところで、「Somebody to Love」というタイトルが意味しているのは、クイーンの曲でも、ジェファーソン・エアプレインの曲でも、「
誰か愛する人が欲しい・必要だ」ということだ。しかし、それぞれの邦題は、ジェファーソン・エアプレインが「
あなただけを」、クイーンが「
愛にすべてを」となっている。どちらも元の意味をまったく無視していると言える・・・。まぁ、こういうのもよくあることだけど。
↓ちなみに、
松任谷由美が「
グレイス・スリックの肖像」という曲を作っている。