マーキー・ムーン←試聴はこちら→Marquee Moon
この作品の音は、体の表面にざくざくと引っかかる強烈な肌触りが気持ちいい。一言で言えば変だ。尋常じゃない。完全にどこかに突き抜けている。この奔放でナイーブな感じが心を果てしなく解放してくれる。
イントロのダダ、ダー、ダダ、ダーというギターを聞いただけで毛が逆立つ「See no evil」。さらにトム・ヴァーレインの素っ頓狂な(?)ボーカルにぶっ飛ばされる。なんだこれは?こんな歌い方をする人は今まで聞いたことが無い!彼の声は、美しい歌唱とか、エモーショナルなシャウトといった既存のボーカル・スタイルとは別次元のものだ。「Venus」でもトム・ヴァーレインの奇妙なボーカルにうっとりする。そして、最強の「Marquee Moon」。この曲でもまた、イントロの荒削りなギターを聞くだけでぞくぞくする。さらにベース、ドラムが参入し、バンド・サウンドになるや、体中の血管はすでに戦闘準備オーケーである。そしてまたまたトム・ヴァーレインの声!!さらにさらに、サビの奇妙なドラム・パターンと、その後のブレイクでのトム・ヴァーレインの吐き出すようなつぶやき・・・。本当に、どの部分をとっても強烈なスパイスが効いた、ロック史上最もユニークな名曲だ。「Elevation」のサビでは、頭を砕かれるかと思うほど唐突なタイミングでギターが炸裂し、リズムを破壊する。
ニューヨーク・パンクとか、ジャンルのことはまぁいいだろう。ともかく、既存の概念をこのように粉々にしてくれる音楽というのは本当に気持ちがいいというだけ。この作品は、何かを創作するような活動をしている人には絶対お薦めの一枚だ。今までに無かったようなものでも、まだまだ考え出せるはずだという意欲がわいてくる。





