セックスについての記事もそろそろじっくり書いてくれという要望が最近多いので(うそです)、今日は
セックス・ピストルズの話。セックス・ピストルズは、70年代の終わりに
クラッシュ、
ダムドらとともに
パンク・ブームを作り上げたバンド。楽曲、ファッション、ライヴ・パフォーマンスなどで人の度肝を抜くような過激なことをやらかしたバンドとして有名だ。
彼らのファッションはここでも何度か紹介している
ヴィヴィアン・ウェストウッドの
ヴィヴィアン・イザベル・スウェアがデザインしたもの。そして、彼らの精神的な過激さを支えたのがヴィヴィアンの相方でピストルズのマネージャー、
マルコム・マクラレン。ピストルズの産みの親と言ってもいい存在だ。彼らは、お金儲けのために低俗化した音楽や、テクニックを偏重して精神性が低い音楽すべてを否定する。もともとベーシストであった
グレン・マトロックが「
俺はビートルズが好きだ」と発言したことでマルコムにクビにされ、替わりにピストルズのファンであった
シド・ヴィシャスが加入したという話もあるくらいだ。

←勝手にしやがれ!!
Never Mind the Bollocks Here's the Sex Pistols
←試聴はこちらから!
ともかく過激なピストルズではあるが、僕は彼らの音楽は
かなり聞きやすいポップ・ソングだとも思っている。ボーカルや歌詞の過激さにはしびれる一方で、ちゃんとポップ・ソングとして心のつぼを押さえてくれる良質の音楽でもあるというところがピストルズのすごいところだと思うのだ。ピストルズの音楽は聞いていてけっこう「
楽しい」のだ。
で、今日紹介するのは
セックス・ピストルズの唯一のオリジナル・アルバム『
勝手にしやがれ!(
Never Mind the Bollocks:Bollocks は混乱orきんたまという意味)』である。イントロでしょっぱなからぶちのめされ、
ジョニー・ロットン(
ジョニー・ライドン)のボーカルにさらにぶっとぶ驚愕のパンク・ロック「
さらばベルリンの陽」、放送禁止にもなったにもかかわらず全英2位を記録したという「
ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」、俺は無秩序を望む反キリスト教の無政府論者だと歌う「
アナーキー・イン・ザ・UK」は不動の名曲だろう。他にも、中絶への痛烈な批判の曲「
ボディーズ」、思いのたけを叫びまくるジョニー・ロットンが圧倒的な「
分かってたまるか」、俺たちはまったくもって空っぽだという言葉に共感してしまう「
プリティ・ヴェイカント」、レコード会社非難と自分たちの態度表明の曲「
拝啓EMI殿」など、良い曲がたくさん入っている。
パンク・ムーヴメントで出てきたバンドの中でも、ピストルズは圧倒的な存在感を持っている。ピストルズだけを特別扱いするのはおかしいという声もあるとは思うが、僕の中ではある意味、別格だ。過激で分厚い彼らのバンド・サウンドと
ジョニー・ロットンのボーカルの強烈なインパクトの前では、他の「パンク」バンドの印象はやや薄れてしまう(僕は
クラッシュなども好きではあるが)。
パンク・バンドの中でピストルズが「
特別扱い」を受けているのには他にも理由がある。彼らはアルバムを一枚出しただけですぐに解散した。実はアルバム製作時にすでに解散を決めていたという話もある。彼らは「
決して商業主義には乗らない」というパンク的態度を最後まで貫き通した、おそらく唯一の「パンク」バンドだ(ジョン・ライドンはその後もいろいろやってるけど)。僕はこういう精神を批判するつもりも賞賛するつもりもない。商業主義に片足つっこみながらでも革新的なことを続ける道はあると思うし、それも悪く無いと思うから。ただ、彼らが貫き通した
反骨精神が、彼らの音楽に驚くべき奇跡的なパワーを与えたことは間違いない。
最近、
ジョニー・ライドンが
グリーン・デイのことを「
あんなのはパンクじゃない」とかなり口汚く罵ったらしい。こういう発言は人を不愉快にさせるだけだからあまり良くないよな・・・とは思いながら、ピストルズは圧倒的だったのだという印象を変えることも難しいと思う。