バレンタイン・デーが近づいてますね。恐ろしいですね。というわけで、
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(マイブラ)の「
Loveless」の紹介です(笑)。
バレンタイン・デーにふさわしいのかふさわしくないのかと問われれば、ふさわしくないのでしょうけど・・・(なにしろ「
Bloody」だし「
ラヴレス」ですからね・・・)。

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Loveless
とは言っても、このアルバムは「
血みどろのヘヴィー・ミュージック」ではない。ひずんだギターの「
轟音」にあふれた音楽ではあるが、決してやかましい音楽ではない。いや、むしろ彼らの音楽はうるさい音楽の対極にある。これは言葉の上では矛盾しているかもしれないが本当のことだ。
嵐のような、吹雪のような轟音の向こうから、
細く澄んだ美しい音世界が垣間見えるような音楽。独特の浮遊感と静けさ。そう、
轟音の中に静かなはかない美しさを表現しているのが
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「
ラヴレス」だ!
僕にとってこのアルバムは「
あー、こういうのもありなのか!!」と、ポップ・ミュージックの概念を大きく広げてくれた作品だ。一曲目「
only shallow」でいきなり嵐のようにうなるギターと、その向こうに湧きあがる泉のような世界の調和に、頭の中じゅうに
快感リキッドがほとばしる。「
loomer」では音程の揺れる轟音ギターと間奏のギターの低音フレーズに、音楽に対してそれまで僕が持っていた
古い感覚を練りつぶされる。「
to here knows when」では、うねる轟音ストリングス(ギターのフィードバック?)の向こうに気持ちいいループと歌の世界が広がる。後奏のうねるギター・リフもかっこいい。「
i only said」では、うねりまくるギターにまたまた快感リキッドまみれになる。
これぞ合法ドラッグという感じだろうか。「
sometimes」は、言ってみればギターの弾き語りに歪んだギターを重ねただけの曲。しかし、このアレンジが
ケヴィン・シールズの歌のはかなさ、切なさを強烈なものにしていることは間違いない。「
blown a wish」は、このアルバムの中で一番幸せな気分になれる美しい曲だ。それに続く「
what you want」では、テンションの高い轟音ギターにまたまたぶっとばされる。最後の「
soon」では、ノリの良いビートの上にオーロラのように轟音ギターとボーカルが広がり、
快感リキッドまみれの僕を置いてアルバムはフェイド・アウトする。
バレンタイン・デーにこのアルバムを恋人にプレゼントすると、冒頭に書いたような理由から勘違いされるかもしれない。しかし、バレンタイン・デーに
彼女と2人で快感リキッドまみれになってみたい、という夢を僕は捨てていない(笑)。