今日は、先日も少し触れた「
ベン・フォールズ・ファイヴ」のデビュー・アルバムのご紹介。
ベン・フォールズ・ファイブは、
ベン・フォールズ(ピアノ・ボーカル)、
ロバート・スレッジ(ベース・コーラス)、
ダレン・ジェッシー(ドラム・コーラス)の三人組。
ギターレスのスリーピース・バンドだが、3人で演奏しているとは思えないほどの迫力を感じさせるものすごい演奏力。
まるで5人はいるようだというわけで、バンド名も
ベン・フォールズ・ファイヴ!
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このアルバムは、そんな
ベン・フォールズ・ファイブの作品の中でも、とびきりパンチの効いたデビュー・アルバム。始めてこの作品を聞いたとき、僕は彼らの
音の迫力と、繊細さと、美しさとやかましさと、曲の切ない魅力に、本当に驚いてしまった。
あらゆる意味において最大限のパワーのみなぎる名作だと言っていいだろう。宣伝用のコピーには「
泣き虫野郎のパンク・ロック」とか、「
ニルヴァーナ・ミーツ・ビリージョエル」とか、「
クイーン・ミーツ・ジョージャクソン」なんて書かれてあったが、これらの言葉はベン・フォールズ・ファイヴの持つ魅力のごく一部ずつをかろうじてつまみ挙げているにすぎない。本当にすごいのは、彼ら独特の繊細なメロディ・センスを中心に据え、力強い光を放つさまざまな色を同時に備えていることだろう。
きになるオセロでも使われていた「
ジャクソン・カナリー」は、躍動感あふれるピアノ、ベン・フォールズの少しはずしたボーカル、ロバート・スレッジの
ファズ・ベースが踊りまくっていてともかく楽しい。そう、ベン・フォールズのピアノはリズムを生み出すピアノだ。彼はドラムもたたけるそうだが、彼のピアノは
メロディを歌うドラムと言ってもいい。とてもドラマチックで美しい大曲「
フィロソフィー」では、ベン・フォールズの突き抜けた作曲センスに感動。コーラス・アレンジもとても気持ちがいい。
ファズ・ベースで突っ走る「
ジュリアンヌ」はめちゃめちゃに遊びまくった曲。「
ホエアーズ・サマーB」は一転してしっとりとした美しさも聞かせる。「
アリス・チャイルドレス(アリス・チルドレス)」はアルバムの中で最も美しく、切ない名曲。アンダーグラウンドでは幸せになれると歌う「
アンダーグラウンド」は、このバンドが
泣き虫野郎と呼ばれる原因となった、彼らの代表曲。「
スポーツ&ワイン」は軽快なのりがとてもオシャレ。「
アンクル・ウォルター」では、ベースが踊りまくり、ベン・フォールズが息を切らせて、盛り上がりに盛り上がる。僕は最高にうまく自分の物まねをしているんだと歌う「
ベスト・イミテーション・オブ・マイセルフ」は、自分について見つめ直す歌詞が胸に響く。別れの痛みを歌う「
ザ・ラスト・ポルカ」はサウンドにも痛みを含んだ激しいポルカになっている。ラストの「
ボクシング」では、生きるために戦うことのむなしさを静かに歌って、このアルバムは幕をとじる。
ボーナス・トラックの「
トム・アンド・マリー(Live)」の最後の部分は次の曲のイントロのフェイド・アウトとなるが、フェイド・アウトされているのは名曲「
エマライン」。この曲はファースト・アルバム録音時に一緒に録音されていたのだが、この曲だけギターが入っていたため、アルバムの統一性を欠くということで没となった曲。このライブ音源は「
ホエアーズ・サマーB」のシングルに入っていたが、スタジオ・バージョンは編集アルバム『
ネイキッド・ベイビー・フォトズ』に入っている。
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ちなみに、日本盤には
元・フリッパーズ・ギターの小山田圭吾(コーネリアス)の、おそらく直筆の超推薦コメントがついていて(きったない字だけど・・・)、おそらく
小山田圭吾本人の指紋も押してある。おそらく右手親指のもので、意外と大きい指紋だ。
コーネリアスの指紋に興味のある方は絶対チェックすべし!
(最近の新しい盤のブックレットにも載っているのか未確認ですが・・・)