2006年11月25日

ブランフォード・マルサリス@ラヴェル+スティング

以前、最も美しい曲として、モーリス・ラヴェルのソナチネの第2楽章(メヌエット)をご紹介したのだが、今日はクラシックの作曲家としては僕が一番好きなラヴェル(Maurice Ravel)の曲の映像をYouTubeで探してみたのであった。

・・・が、ソナチネのメヌエットは結局見つからなかった。そのかわり、とてもおもしろいものをみつけた。

YouTube ブランフォード・マルサリス@「亡き王女のためのパヴァーヌ」(削除されちゃいました・・・)

なんと、ブランフォード・マルサリス(Branford Marsalis)とオーケストラによる「亡き王女のためのパヴァーヌ(Pavane pour une infante defunte)」だ。ブランフォード・マルサリスといえば、スティング・バンドでサックスを吹いていたジャズ・ミュージシャン。スティングの『ブリング・オン・ザ・ナイト』での演奏については、以前書いたことがある。ラヴェルのこの曲はピアノ・バージョンもとても美しくて好きな曲なのだが、このバージョンも素晴らしい・・・。

スティング&ブランフォード・マルサリス「リトル・ウィング」ライヴ映像!

こちらはジミ・ヘンドリクスの名曲「リトル・ウィング(Little Wing)」のカヴァー。ブランフォード・マルサリスのサックスはやはり素晴らしい。あまり他人から触られたことの無い体の部位ってとても敏感なものだが、彼のサックスはちょうどそういう部位だけを素早く次々に押さえていくマッサージのようだ。音の並びが新鮮で気持ちいいのである。バンドの後半の盛り上がりもすごい。スティングもめちゃくちゃかっこいいのだが、間奏で椅子に座っちゃうところが映ってるのがちょっと笑える・・・。

←ブランフォード・マルサリス@クラシック
←スティング「リトルウィング」『ナッシング・ライク・ザ・サン』
←ジミヘン「リトル・ウィング」(ベスト盤・輸入盤)
Jimi Hendrix『Little Wing』←ジミヘン「リトル・ウィング」の試聴+ダウンロード購入


2006年04月04日

愛は争いを防げるか?

スティングの「ラシアンズ」は、ソヴィエトと欧米との東西冷戦を歌った作品だ。東西冷戦といっても、そんな時代があったことをもうすっかり忘れかけている人や、はじめから知らないという人もいるかもしれない。でも、似たような状況はいまだに世界中にあるし、新たな火種もいくつかできつつあるように見える。冷戦は終わっても、冷たい世界に終わりは見えていない。

スティングの「ラシアンズ」。この曲はプロコフィエフのテーマをもとにした重々しい雰囲気の反戦歌で、曲としては大好きだ。しかし、スティングの歌詞には納得できない部分もある。もちろん、彼が東西の冷戦状態を真剣に扱っていることには共感する。ただ、「ロシア人も子どもたちを愛しているだろう(russians love their children, too)」ということに希望を見出そうとしている点が少しひっかかるのだ。

要するにこの歌は、ヒューマニズムがあれば争いは回避できるという発想・願いのようだ。しかし、これはあまりにも楽観的な気がする。逆に「子どもたちへの愛」こそが争いを産むこともあるだろう。「愛」というのは両面的なものだ。身内を愛すればするほど、身内を脅かすものを攻撃したい衝動に駆られる・・・。

それからもう一つ。この曲のスティングは、やや西寄りに見方が偏っているようにも思う。この曲は「ソ連という国が脅威になりつつある」という受身的な雰囲気が強い。しかし、国家間が険悪になる場合というのは、お互いがお互いにとって「脅威」になることが多いのではないかという気がする。そしてお互いに「脅威だ」という思いが高まっていって、どんどん冷静さを失っていく・・・。

これと似たようなことは、今この国でも起きつつある気がする。「あちら」でも「こちら」でも、お互いに対するヒステリックな反応が増えつつあるように見える。僕の勘違いであればいいと思うのだけれど。(ヒステリックな発言はうるさくてよく聞こえるので、実際以上に多く聞こえてしまう・・・)

←スティング・ベスト盤
(こちらでもご紹介しました→スティング@ロハス
ラベル:反戦 スティング

2006年03月18日

ジャズとロック@スティング『ブリング・オン・ザ・ナイト』

先日『ポリス・ライヴ!』を紹介しましたが、今日はソロになってからのスティングの最高のライヴ盤『ブリング・オン・ザ・ナイト』!!(2枚組)
【CD】スティング /ブリング・オン・ザ・ナイト<2003/8/27>←CD『ブリング・オン・ザ・ナイト』
試聴はこちら→Bring on the Night

この作品はスティングのファースト・ソロ・アルバム『ブルー・タートルの夢』リリース後のライヴ音源を集めたもの。ジャズ界の名プレイヤーが集結したバンドによるものすごい演奏に、最初から最後まで圧倒される。彼らはいわゆる「ロック・バンド」ではないが、彼らの若く熱い演奏には、「演奏技術」以上のロック魂とでも言えそうなものを感じる。スティングはギターとボーカルを担当している。バンド・メンバーは、サックスにブランフォード・マルサリス、キーボードにケニー・カークランド、ドラムにオマー・ハキム、そしてベースには、ビル・ワイマン脱退後のローリング・ストーンズにも参加しているダリル・ジョーンズ

まず最初の「ブリング・オン・ザ・ナイト〜ホエン・ザ・ワールド・イズ・ラニング・ダウン」はスティング定番のメドレー。ポリスの曲2曲のメドレーだが、「ブリング・オン・ザ・ナイト」はサビがかなりポップになっているし、「ホエン・ザ・ワールド・イズ・ラニング・ダウン」はダンサブルなアレンジに電子ピアノやサックスのソロ、ブランフォード・マルサリスのラップが入るなど、ポリスとはかなり違ったジャンルになっているが楽しめる。「Low Life」はダリル・ジョーンズの少し引っかかりのあるのりや、ハスキーなスティングのボーカルが気持ちいい。「We work the Black Seam(黒い傷あと)」ではAメロのスティングのボーカルがやや走り気味だが、サビの後の落とし方など、随所で光る渋さに何度もぞくぞくする。ポリスの曲「Driven to tears(世界は悲しすぎる)」は、ポリスのような荒っぽい勢いは無いが、ものすごい演奏を妙にクールにやっちゃっているのがとてもかっこいい。そして、僕の大好きなインスト・ナンバー「ブルー・タートルの夢」でスティング・バンドの演奏力を発揮しまくった後、またポリスの「デモリション・マン(破壊者)」へとメドレーでなだれ込む。

後半、2枚目の冒頭では、全人類の共存を歌う「One world (not three)」からメドレーで「Love is the seventh wave」に流れ込む。後半のギター・オルガンのソロの後に2つの曲が徐々に融合していくのがかっこいい。スタジオ録音よりもじっくりじっくり演奏される「バーボン・ストリートの月」は、ブランフォード・マルサリスのサックスが素晴らしく歌う。クライマックスで、スティングのボーカルに驚くほどの力がこもるところもすごい。続く「I burn for you(アイ・バーン・フォー・ユー)」は最高だ。スティングの孤高の美学ここに極まれりという感じの名演。「Another day」はライヴの最後を飾るのにふさわしいセンスの良いポップ・ソングだが、まだこの作品は終わらない。これまた僕の大好きな「Children's Crusade(チルドレンズ・クルセイド)」はサックス・ソロ部分の盛り上がり方がすごい。ジャズ・プレイヤーによるブルース・ロック・ナンバー「Down so long」では、ケニー・カークランドの「キーボードによるギター・ソロ」がおもしろい。ポリスの曲で始まったこの作品だが、最後を締めくくるのもポリスの曲で「サハラ砂漠でお茶を」。

ちなみに、同名のDVDも出ているが、こちらはアルバム『ブルー・タートルの夢』の制作過程も収録したドキュメンタリー作品となっている。スティングのプライベート映像や、CD『ブリング・オン・ザ・ナイト』のパリ公演の映像やリハーサル風景も収録されている。(ただし、音源はCDとは異なるようです)
←DVD

2006年03月13日

アンディ・サマーズは変わってる@ポリス・ライヴ!

うーん、やっぱりアンディ・サマーズというのは変わったギタリストだ。僕はこの人のギターがかなり好きだ。なんだか変なことをよくやっていて、他のギタリストとは一線を画している。独自の世界観を持つギタリストとして、稀有な存在だと思うのだ。ところがである。ポリスをスーパー・バンドと呼ぶことに異論のある人はあまりいないかと思うのだが、ポリスのギタリストであるアンディ・サマーズの評価は意外と高くないような気がするのだ。少なくとも、アンディ・サマーズが大好きです、と言っているギタリストを僕は知らない。エリック・クラプトンジミー・ペイジジミヘン、はたまたピート・タウンゼントなどなどといったギタリストの受けているのと同等の扱いをアンディ・サマーズは受けていないと思うのだ。知名度の点でもスティングには及ばないし、アンディが昔アニマルズで活動したこともあるということも意外と知られていない。

これはなんでなんかいな・・・ということで「ポリス・ライブ」を聞きなおしてみたのである。このアルバムはともかくテンションが高い、最高のライヴ盤だ。ポリスの高い演奏技術、高い表現力が詰まった2枚組み。一枚目は1979年、初期のパンクっぽさが残ったライブ音源、二枚目は1983年、新たな世界観を開拓した後期ポリスのライブ音源になる。
ポリス・ライヴ←「POLICE LIVE!
試聴はこちら→Police Live (Dig)

曲数が多いので、一曲一曲の紹介は今日はあまりしないでおこう。ただ、ともかくすごい!かっこいい!ポリスの曲の中で最もハイ・テンションな曲「ソー・ロンリー」は、スティングのハイ・トーン・ボーカルと猛烈な疾走感に驚く。「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」では、不思議な浮遊感をかもし出すスチュワート・コープランドのドラムと、味のあるスティングのベース・ライン、アンディ・サマーズの光の粒子のようなギターが紡ぎだす雰囲気がとても気持ちいい。月面をふわふわと歩くようにうきうきした気分を表現した曲だ。売春婦への愛の歌「ロクサーヌ」は、ポリスの曲の中で一番クールで、僕が一番好きな曲だ。スティングが一箇所ベースを間違えているが(笑)、切れ味の鋭さがともかくかっこいい。超特急の口説き歌「サリーは恋人」では、中間部でアンディ・サマーズが詩の朗読(?)をする。アンディ・サマーズはわりと控えめな外見なのだが、かなり熱い人だということがわかる。かっこいいシンセのループで始まる「シンクロニシティ I」はアンディ・サマーズの空間的なギターと、なにやらわけのわからない不思議なギター・ソロがやたらとかっこいい。続く「シンクロニシティ II」もバンド全体が全力疾走という感じで興奮する。

恐竜をモチーフにした世界観がおもしろい「ウォーキング・イン・ユア・フットステップス」は、スティングのソロにもつながる深みを持つ曲。この曲でもアンディ・サマーズは空間的な広がりを作り出すミュート・ギターに徹している。僕はこういうギターがかなり好きなのだが、こういうギターを弾きたがるギタリストはあまり多くは無いだろう。ギタリストの多くは、もっとギターをギュインギュイン唸らせたり、轟音ギターをかき鳴らしたり、ブルージーな泣きを入れたりするのが好きなんじゃないかな?こういうほかのロック・ギタリストとはあまりにも違いすぎるから評価が低いのだろうか?まぁ、ともかく、アンディ・サマーズってかなり変わっていると思う。
ラベル:ポリス

2006年01月07日

STING の「ロハス」な魅力

ロハス(LOHAS)
Lifestyles Of Health And Sustainability:健康的で持続可能なライフ・スタイル

ロハスという言葉を聞いたことがある人はどのくらいいるだろうか?近年盛り上がりつつある「健康的で持続可能なライフ・スタイル」のことだ。持続可能というのはこういうことだ。近代以降の人類は大量の資源を消費して地球上で生活してきたが、このままの生活を続ければ近い将来に資源は枯渇すると言われている。そこで、できるだけ地球への負担を減らし、人類と地球が「永らく共存」できる生き方を模索していこう、というのが「持続可能性」追求の理念だ。さらに、ヨガ・アロマテラピーなどの心身の健康を追求する流れが合流したのが「ロハス」。新しい理想的なライフ・スタイルと言うわけだ。「スローライフ」 と言われていた流れも最近は「ロハス」に合流したように見える。

ますます注目されるようになってきたロハスだが、ロハスなアーティストとして真っ先に思いつくのがスティングである。彼が自然環境保護を訴える運動にも積極的に参加してきたことはファンならご存知だろう。また、彼自身ヨガで精神・肉体の健康を追求し、平穏な環境で落ち着いた暮らしを実践しようとしている。ソロ活動以降の彼の音楽も、ロック・バンドであった The Police の頃とは大きく路線を変え、心の平穏と癒しを重視している。しばしば牧歌的とも言われるが、決して懐古的ではない新しいスタイルを確立してきた点も見のがせない。

スティングはポリス時代も含めたくさんのベスト盤を出していて、初めて聞こうという人はどれを買うべきか迷うことだろう。僕がお薦めしたいのは「スティング(ソロ)のベスト盤」と「ポリス・グレイテスト・ヒット」を別々にそろえるやり方。「スティング&ポリス」のベスト盤は、曲数が少ない分「え!?それをはずすの??」という不満がどうしても残る。(ポリスについてはまた後日書きます)
【CD】スティング/フィールズ・オブ・ゴールド〜ベスト・オブ・スティング1984-1994<2006/1/25>
不朽の名曲「セット・ゼム・フリー」「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」「フラジャイル」が入っているのはもちろんだが、他にも素晴らしい曲がずらりと並ぶ。不倫の恋を壮大なスケールで美しく描く「ホエン・ウィー・ダンス」、川にボートを漕ぎ出し、亡くなった父親を海に葬ってあげたいと歌う「オール・ディス・タイム」、物語の中の暗い森に迷い込んだような「マッド・アバウト・ユー」、エリック・クラプトンとの渋い共演曲「イッツ・プロバブリー・ミー」、政治的虐殺の被害者の母・妻・娘たちによる強烈な抵抗のメッセ―ジ「孤独なダンス」、確かなものは何も無いままに航海は続く「ホワイ・シュッド・アイ・クライ・フォー・ユー」などなど・・・。どの曲も深い悲しみ、無力感を乗り越えながらも冷静に強く生きていく力を与えてくれる。

各国盤で曲数・曲目が異なるが、日本盤は曲数が多く、選曲も「癒し度」が高くて良い。さらに、日本盤だけのボーナス・シングル「テイク・ミー・トゥ・ザ・サンシャイン」がのどかで楽しい(最近売られているものには入ってないのかな?)。この曲は「ホエン・ウィー・ダンス」とともに、宮崎シーガイアのキャンペーン・ソングとしてCMでも流れていたので聞いたことがある方も多いのでは。(シーガイアは経営破たんしたという話も聞いたが、あれはどうなったのかな?)
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