さて、今日は「
はっちゃん」の部屋にもポスターがあることで有名な(?)、
ビョーク『デビュー』のご紹介。この作品はその名のとおり、ビョークのソロ・デビュー・アルバムだ。バンド、
シュガーキューブスでの活動に終止符を打ち、ソロとして新たに再出発するビョークの新鮮なパワーがあふれる快作。
デビュー+1←CD
Bjork『Debut』←試聴・ダウンロード可能!
ビョークというと「難しい」「よくわからない」と言って敬遠される方も多い。たしかに、『ポスト』『ホモジェニック』『メダラ』といった作品はちょっとマニアックすぎる曲が多い気がする。しかし、この『
デビュー』は、ポップスとしての気持ちよさとビョークの不思議なサウンド世界のバランスが絶妙で、最高に楽しめる一枚だ。ビョークの全キャリアの中でも、僕はこの『デビュー』が一番好きだ。
なかでも、「
ヒューマン・ビヘイヴィアー(人間の行動)」が最高だ。普通ならちょっとありえないメロディ・ラインを持つ曲なのだが、とても気持ちがいい。「
人間の行動には地図もなければ論理もない・・・」。人間の行動は、理性ではあまりコントロールされていない、とこの曲は歌う。予期せぬところで突然ハッピーになったり、感情が通じ合うことで至福の体験をしたり。人間は「理性的な動物」だと考えられているけれど、本当のところは「感情と衝動」によって大方の行動は動かされている。
「ヒューマン・ビヘイヴィアー」はヴィデオもおもしろい→(
YOUTUBE Bjork "Human Behaviour")。深い森の中を歩くビョークが(ぬいぐるみの)熊に襲われるという奇妙なストーリーのヴィデオだ。メルヘンチックな森の描写は、
レディオヘッドの「
there there」のヴィデオを髣髴とさせる。途中、ハリネズミのようなぬいぐるみ(ヨージック??)も登場し、車にひかれそうになったりする。この辺からは、
レディオヘッドの「カーマ・ポリス」のヴィデオを思い出す。
そして、もう一曲、忘れがたい名曲が「
少年ヴィーナス」だ。
繊細な指先で女性の体を探求していく少年と、それによって美しさを獲得していく女性。これ造ど美しく、甘く、なおかつセクシーで官能的な曲は他にはないと言い切ってもいい。エキゾチックなサウンドによってたちこめる煙には、媚薬の香りがする。しかし、この曲のヴィデオには意外と普通の日常生活が描かれる。眉毛にエキゾチックな不思議メイクを施したかわいらしい女の子(ビョーク)が物想いにふけるという設定。まだ少しあどけなさの残る女の子が、頭の中でものすごくエッチな妄想を膨らませているというストーリーだ(?)。途中で、ビョークが
イグアナをかわいがるシーンが不思議さを増幅する。→
YOUTUBE Bjork "Venus As A Boy"このアルバムには他にも入魂の作品が詰まっている。「
ライフ・ザン・ディス」は、バーのトイレでボーカル録音がされたというエネルギッシュなダンス・チューン。「
ビッグ・タイム・センシュアリティ(YOUTUBE・別バージョン!)」や「
ヴァイオレントリー・ハッピー(暴力的に幸せ)」もハイ・テンションで、聴いているこちらにも力がわいてくる。「
来て(Come to me)」は『
ヴェスパタイン』につながりそうな、癒しの雰囲気を持つラヴ・ソング。「アンカーソング」は、ビョークの歌声の美しさを生で感じられるシンプルな一曲。