MSN+毎日新聞の「
石田衣良の白黒つけます!!」については、このブログでも2回取り上げたことがあるが、またまたとんでもない記事の登場だ・・→『
中国、韓国と仲良くした方がいい?しなくてもいい?』。このテーマでネット上でアンケートをおこない、石田氏が白黒つけるという内容。アンケート結果は、過半数(57.2%)が「仲良くしなくてもいい」と答えているが、石田氏は「
サイレント・マジョリティ(発言しない多数派)」がいることを考慮して「仲良くした方がいい」のだと結論する。
これはあまりにも酷い。いったい何のためのアンケートなのだと憤慨した人もいることだろう。石田氏の「結論」に反対する気はないが、同じ結論に到るとしても、サイレント・マジョリティなんてことを言わずに堂々と石田氏の議論を展開するべきだろう。あるいは、せめてサイレント・マジョリティがいることの根拠を書いてほしかった。
そもそも『
中国、韓国と仲良くした方がいい?しなくてもいい?』という質問の仕方からして、あまりにも乱雑だ。石田氏自身が自覚していると思うが、理想論として「仲良くなれればいいな」って程度の話ならアンケートをするまでも無いことだろう。しかし、そこで敢えてアンケートをして意見を集めるからには、もう少し高度な考察をしてくれなければ困る。実際の回答例を読んでみると、必ずしも、「仲良くしなくていい」派=「ノイジーな嫌中・嫌韓」派というわけでもなさそうだ。そもそも、質問の仕方が甘すぎて、人によって質問の意図のとらえ方がいろいろなのだ・・。
しかし、「ノイジーな嫌中・嫌韓派」が結果をかなり引っ張っていることも確かのようだ。アンケート結果について少し分析しておこう。まず、目立つのが
男女差だ。「仲良くした方がいい」と答えた男性は33.6%、女性は64.2%。つまり、
女性の過半数は友好的回答なのだ。それからもう一つ非常に特徴的なのは、
有効投票数9010のうち、男性が約70%(6284)も占めることだ。このデータはとても示唆的だ。「仲良くしなくてもいい」という意見が過半数を越えたのは、主に男性のノイジーな意見に引っ張られた結果である可能性が高いと言っていいだろう。
アンケート調査が持つ問題点については以前にも触れた。サイレント・マジョリティやノイジー・マイノリティの問題についてもすでに書いたことがある→
アンケート調査の問題点。だから僕は、この手のアンケートを安易にするなと言いたい。
それから、石田氏の記事の最後に
ジョン・レノンの名が登場することについても一言。これはジョン・レノンの「
イマジン」などの一連の反戦歌のことを言っているのだろうが、これらの歌は、
多くの人々の心が排他的な憎悪に巻き込まれそうになる事態に抵抗する力強い歌なのだと思う。石田氏の言うような「みんな仲良くなれたらいいな」という程度のふわふわした認識の歌では無い。
