2007年01月23日

センター試験にリスニングは必要か?

先日のセンター試験・英語のリスニング・テストで、またICプレーヤーのトラブルが多発したようだ。全国で少なくとも394人がICプレーヤーの不具合などを訴えて再テストとなった。昨年のリスニング試験でも同様のトラブルがあった(→洋楽はリスニング対策になるか?)。(で昨年も同じことを書いたのだけど)ただでさえ大きなストレスを抱えている受験生にショックと疲労を与えた大学入試センターの責任は重い・・。

そもそも大学入試センター側の認識の甘さにビックリ仰天する。「機械を使う以上、不具合はどこかで発生すると思うが、起きたときの対応さえ決められた通りにできれば混乱はないはず」・・・って、これはダメでしょう・・。再テストを受ける受験生の心理的な混乱と疲労をまったく考慮していない。それに、この疲労と混乱は、再試験を受けた受験生のその後の成績に影響する可能性もあるのだ。これは重大な問題だ。

あってはいけないことが2年も連続でおこったことで、ちょっと考え込んでしまった。そもそも、センター試験に英語のリスニング・テストは必要なのか??

センター試験で使われるICプレーヤーを作っているメーカーがどこなのか知らないが、受験生の数だけICプレーヤーを用意し、しかもトラブルを絶対に起こさないなんていうのは不可能なことなのだろう。別のメーカーならもう少しマシだったりするかもしれないが、いずれにせよかなりの不具合が生じるだろう。ここで問題になるのは、リスニング試験は「やり直しがきかない」ということ。通常の試験問題であれば問題文を何度でも読み直すことができるが、リスニング試験では一回きりにすべてをかけなければいけない。そして、その一回きりにトラブルがあってはいけない・・。

僕は、日本はもっと英語の教育に力を入れるべきだと思っている。英語が第一の国際語であることは事実であり、このことについて好きだとか嫌いだとか言っていられない。日本があらゆる分野で世界のトップ・レベルであろうとするのなら、英語教育のレベルアップが必要だ(現状では、世界的に活躍できる才能を持ちながら、英語能力の低さのために活躍できていない人が結構いるように思える)。それに、インターネットで世界中とつながっている現代において、英語ができるかどうかで情報収集力にかなりの差が出てしまう。英語が使えれば、いろんな意味で可能性が広がるのは確かなことだ(もちろん、英語が使えなくても生活にそれほど「不便」ではないだろうけれど)。

しかし、それでもセンター試験のリスニング・テストは必要ないと思う。それはまず、多くの人にとって、英語を読む能力に比べたら英会話の能力は必要度が低いからだ。たとえば、大学で勉学に励むのに英語を読む力が必要なことは多いだろうが、英会話能力が必要になるのは「英会話」の授業くらいだ(笑・・)。また、インターネット上の情報を使うにしても、現状ではほとんどが文字情報である。グーグルなどの検索システムの性格を考えても、今後も文字情報が重要であり続けるだろう。

もちろん、海外の人とじかにコミュニケーションをとる場合には英会話能力は有効だ。しかし、その場合でも、リスニングだけができても無意味なのだ。話せなければ意味が無いし、話すことができれば、聞き逃したところを聞きなおすことができる。話す能力も含めた「英会話能力」をセンター試験のような大規模試験でできないのであれば、英会話能力を中途半端に扱うのはやめてもいいと思うのだ。ましてや、莫大な労力をかけて、いくらかの受験生の災難まで引き起こしながらすべきことではない。

また、受験生の数のICプレーヤーが、試験終了後にはゴミになるという点もよろしくない。しかもこのICプレーヤー、ちょっぴり金をかけて作られているらしい。昨年のセンター試験での不具合の原因が、イヤホン・ジャック部の劣化によるものだったため、今年のICプレーヤーには高級オーディオにも使用される金メッキ部品を使っているらしい。さらに、ゴミの付着を防止するために各部品が厳重に包装されているらしい。果たして、そこまでしてリスニング試験をする意味があるのか?プレーヤーの製造業者との癒着が起こっているのでは・・なんてことまで考えたくなる。

あともう一つ。リスニング試験は聴力の弱い人に不利だという問題もある。現実世界で難聴の人と話そうとする場合、言い直す、ゆっくりはきはきと話す、筆談するなどといったコミュニケーションのための努力がおこなわれるだろう。しかし、リスニング試験というのは現実社会が持つ(べき)こうした「包容力」を無視していると思うのだ。
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posted by muse at 21:52| Comment(4) | TrackBack(2) | 想い・日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一応英文科出として、僭越ながら言わせていただくと、全くその通りだと思います!
とにかく文法、読解、英作文ですよ。
リスニングや発音なんて、余力のある人だけで充分です。
子供英会話教室だって??なのに(笑)
Posted by vivian at 2007年01月23日 22:50
vivianさん、どうもありがとうございます。
入試でリスニングをやらなくなれば誰も英会話を練習しなくなる・・なんてことになったら困りますけど、そうはならないでしょうからね。リスニング・テストをする前から英会話は充分はやってましたし。
Posted by muse at 2007年01月24日 13:03
実は私去年の今頃まで大学職員をしていたのですが、同僚の先生が昨年導入されたばかりのリスニングの試験監督に駆り出されて、かなり大変だったと言ってたのを思い出しました。
これだけトラブルをおこして混乱させるくらいだったらリスニングなんてあえてする必要はないと思うんですけどね〜。ご指摘の通り業者と癒着してるんじゃないかとわたしも思ってしまいました。
Posted by ろ妃江 at 2007年01月26日 15:10
ろ妃江さん、どうもありがとうございます。

リスニング・テスト、試験監督をする先生の方も大変でしょうね。仮に、トラブルを防ぐことが絶対にできないのだとしたら、それは、試験の公平性を完全に守ることができないということですよね。トラブルが起こりうることを前提にして試験をおこなうというのは良くないことです。
Posted by muse at 2007年01月31日 19:19
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