2006年12月26日

オリコンの信頼性を問題にする前に

烏賀陽弘道(うがやひろみち)というジャーナリストが、オリコンのランキング・データの信憑性について疑問を呈するコメントを某雑誌に載せたところ、オリコン側が5000万円もの賠償金を求めて烏賀陽氏を訴えたのだそうだ。すでに多くの人が語っているとおり、これはあまりにも露骨な「批判封じ」だと言える。

オリコンのランキングには、僕はほとんど興味が無い。それは、オリコンを信用していないからではなくて、そもそもレコードの売り上げなどから算出するヒット・チャートというものには限界を感じるからだ。とても素晴らしく、大きな感動を与えてくれるのにヒット・チャートにはあがってこない音楽というのがたくさん存在する。安くでライブを見られるような小さな「ライブハウス」でも、素晴らしいバンドがたくさん活動しているのだ。音楽の素晴らしさとオリコン・チャートは対応していない

だいたい、ヒット・チャートには「音楽以外」のさまざまな要素が影響を及ぼしていることは明白な事実だろう。大きなレコード会社からレコードを出せば、広告にお金をかけてもらえるだろう。そうすれば、中身が中途半端でもそこそこ売れてしまうかもしれない。また、お金のある会社なら、発売直後のレコードを大量に買い占めることでランキングを上げる操作もできるだろう。オリコン・チャートの上位に載ればレコードの売り上げが伸ばせるのだ。他にも、CMやドラマ主題歌で使われたかなどで売り上げは大きく変わるだろうが、これも音楽の良し悪しとは必ずしも対応していない。

もちろん、ランキング上位の音楽には魅力が無いなんてことを言いたいわけではない。素晴らしい音楽がランキングの上位にくることも当然ある。ただ、上記のように、ヒット・チャートなんてあくまで目安に過ぎないし「絶対」ではないのだから、適当に付き合ったらいいということだ。だから、オリコン・チャートの信頼性についてイチャモンをつける烏賀陽氏もちょっと外してる気がするし(何をいまさらって感じ)、それに対して怒りを爆発させているオリコンも自己認識不足である。

今回の騒動では、オリコンのランキング・データの「信用度」が問題になってるわけだが、それ以前に、売り上げ等から計上したランキングそのものに、情報としてどれだけ意味のあるものなのかを問うてみてもいいのではないかということだ。

オリコンの社長、小池恒氏(こいけ・こう、小池恒右)のコメント

烏賀陽氏が事実誤認を認めて謝罪すれば提訴を取り下げるらしい。しかし、5000万円の賠償請求訴訟という方法が、謝罪を無理強いする圧力になってしまっていることにこの人は気付かないのだろうか?仮に烏賀陽氏が謝罪したとしても、それは間違いを認めたのではなくて「圧力に屈した」だけだと多くの人が思うだろう。それではオリコンの信用回復につながらない。・・・いずれにせよ、ランキングの信憑性がどうのってことより、こういう脅迫的手法の方がよっぽど印象が悪い。

この件に関する烏賀陽氏の文章

ついこの間、「グーグル(Google)検索活用術・コツ」でご紹介したジャーナリスト、津田大介氏の記事が非常に詳しい(詳しすぎてしんどい・・笑)。

津田大介氏の記事

ロボピッチャーのVo.加藤隆生氏までが一言!→これはさすがにどうかと思うので

←「Jポップとは何か」by 烏賀陽弘道

ちなみにこの件、ジャニーズ+武富士にとってもトバッチリ・・・?

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この記事へのコメント
トラックバックありがとうございました。
私自身も聞くだけでなく演奏もする人なので、オリコンのようなものを手がかりにしてだけ音楽に接するということはないですね。というか、やっぱり面白いのはマイナーなインディーズレーベルとかライブハウスとかストリートから出てくるのかなぁ、という実感があるし。

オリコンに限らず、自社ビジネスに対する脅威に対しては防衛しなきゃいけないのは当然ですが、節度のないやり方は評判を落とす結果にしかならないでしょう。
私は今回のオリコンの防衛の仕方に問題ないか?という視点でしたが、こういう業界は噂などの多少の「いかがわしさ」が漂っていてむしろ正常で、それが面白さにもつながることもあると思ってます。

だから、第三者のそういう言論をポジティブに利用して、

「こんなこと言われてますがどうなんですか?」
「さぁ、どうでしょうね(謎笑)。やましいことはしてませんので。」

みたいな多少曖昧な態度でいたほうが却ってビジネス的にも効果的なんじゃないかと思いました。

比較は適切じゃないですが、Googleみたいにあくまで第三者指標として「あれこれ多変量のデータからランキング出してますよ。でもロジックは秘密ですよ」みたいな姿勢で、ときどき意図的に情報をリークさせたり、噂をうまくコントロールしたりなど周辺ビジネスに賑わいを演出させて、間接的な利益誘導を図るようなビジネスモデルにオリコンはシフトしたほうが、市場も維持拡張できそうだし、今回のような双方ともに利のない騒動でいたずらに疲弊するよりいいと思います。

しかし、まぁ、音楽業界の人たちは、流行モノを扱う割に、自分たちの認識はトレンドに乗れてないなぁと、改めて思ったりも(苦笑)。

というわけで、ヨタ話でお邪魔しました。
Posted by Max at 2006年12月27日 10:15
Maxさん、どうもありがとうございます。おぉー、Maxさんも音楽演奏をなさってるんですね。

そうですね、オリコンがまた違った方法で対処していたなら、普通に受け入れられたでしょう。というか、こういう批判にオリコンがむきになればなるほど、自分たちの脆さを露呈してしまうことになるんですよね・・。5000万円なんていって、自分たちで話題にしようとした感じでありますが、一番してはいけないことをしちゃってる気がします。
Posted by muse at 2006年12月28日 12:28
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