
この作品にはロック・ナンバーっぽいものはあまり入っていない。宗教的な印象のある神秘的な曲が多い。「ノー・サプライゼス」は『OK コンピューター』の中で最もやさしくて美しい曲。しかし、歌詞をよく読むと、この曲は自殺をほのめかす曲のようにも思える。一酸化炭素、最後の発作、そして「何の心配も驚きもなく、静かに」消えていくというイメージ。騒々しく、苦しみの多い社会生活から身を引きたいという意味での、象徴的な自殺の歌(何かを悟って生まれ変わること?)なのかもしれない。新リミックスの「パーリー」ではトム・ヨークのボーカルが最大で3声あやしく絡み合い、ギターもあやしくゆれる、おもしろい曲だ。「メラトニン」はやや未完成な感じの曲だが、天から光が降り注いでくるような雰囲気がいい。「ミーティング・イン・ジ・アイル」は、ジョニーのメロトロンをフィーチャーしたアンビエントなインストゥルメンタル・ナンバー。『キッドA』以降のレディオヘッドを先取りしたような感じだ。「ビショップス・ローブス」は、トムヨークが権威主義的な高校とその校長への恨みを綴った歌。重く、陰鬱なサウンドが皮肉っぽい。
そしてラストの「ア・リマインダー(思い出すための歌)」は、僕の一番のお気に入り。トム・ヨークの態度表明とも言える、純朴で内省的で美しい曲だ。
「歳をとって僕が変わってしまったら、昔の僕を思い出させておくれ。かつて僕は自由だったと。もし僕が腰を落ち着けて腕を組んでいたら、この曲にあわせて抱きしめておくれ。もし僕が金の亡者になってくだらないことを言っていたら、僕のことをやっつけてくれてもいい。・・・何があろうと、そのとき僕らがまだ語り合うことができたなら、受話器をとってこの曲を聞かせてほしい」
トム・ヨークの細くて透き通った声、バンド演奏のゆるやかな起伏、余韻の残るエンディングと、ともかく素晴らしい感動的な作品だ。
ジャケットには「金魚鉢の中の孤独への解毒薬」という詩も書かれている(「解毒薬」の日本語訳が「アンチテーゼ」となっているのは間違いだ)。孤独から抜け出るための、人とまともに付き合うための教えが羅列される。書かれていることはもっともらしいのだけど、それがかえってトム・ヨークの憂鬱感を漂わせているところが『OK コンピューター』の「フィッター、ハッピアー」に似ている。

ラベル:レディオヘッド
テレヴィジョンの記事の表現でも思ったことだけど、museさんの表現の豊かさって、いつも「上手だなぁ・・・。」と思います。
うちのダンナさんが(前にもお話ししたけども・・・)museさんのことを「相当頭の良い人だ」と言ってて、その理由は1・目の付けどころがいい
2・文章が理解しやすい
だそうです。
ダンナさんいわく、“解らない文章を書く人が頭がいいとは思わない”とのことです!
私もmuseさんを見習って、“共感を呼ぶ表現”がんばりまーす!
P.S.このレディオヘッドの記事の表現もサイコー!
へへへ・・・またまた・・照れちゃいます・・・。
「解らない文章を書く人が頭がいいとは思わない」
そうそう、これは僕もそう思ってます。僕が頭がいいのかどうかはよく分かりませんが、少なくとも、わざと小難しい表現をしたりするのは好きじゃないんですよね。たとえば哲学かぶれの音楽評論家(?)みたいに、やたらと難しくて高等な事を言ってるようなんだけどさっぱりわかりませんっていうのは、おもしろくないですから・・・。
前々しらんかった…!早速買います。
自分のサイトでは、なんというか文章っていうより
自分の日記みたいにRADIOHEADのことを書いていて
トムヨークに申し訳ねえなあ、とたまに思います。
また最新情報あればお知らせください!ありがとう!
これ、過去のミニアルバムですね。
ミニアルバムは持ってないけど、なんか良さそうですね。。
変なブート盤とかは持ってるんだけど(笑)
すいません、取り急ぎ謝罪でした。
はい、これは最新作ではありません・・・。すいません、いつの来日なのかちゃんと書いておいた方がよかったですね。