「メロン・コリー・アンド・ジ・インフィニト・サッドネス」の美しいピアノでアルバムは静かに始まるが、続く「トゥナイト・トゥナイト」でいきなりテンションが上がる。「僕らは変わろうと思えば変われるんだ。今夜、不可能が可能になる」と歌うこの曲は、若い頃の僕にとって(今でも?)、ほとんど信仰の対象だった曲だ。さらに、激しい勢いのある「ジェリー・ベリー」、恋のせつなさとむなしさと神々しさを歌う「ゼロ」が続く・・・。

激しい曲の後にふっと落ち着ける、しかも涙が出るほどに美しい曲があるのがこのアルバムの魅力。そんな曲の代表が「キューピッド・ドゥ・ロック」「ガラポゴス」「サーティ・スリー」「ビューティフル」といった曲だろう。さらに、このアルバムのクオリティの高さを凝縮したような大曲「ポルセリーナ・オブ・ザ・ヴァスト・オーシャンズ」と「スルー・ジ・アイズ・オブ・ルビー」も素晴らしい。「1979」のタイトでかつミスティな不思議なサウンドもかっこいい。僕らは夜にだけ(本当の)姿をあらわすと歌う「ウィ・オンリー・カム・アウト・アット・ナイト」も少し異色だがおもしろい一曲だ。
ジェームズ・イハのギターも素晴らしい。とくに僕は「ヒア・イズ・ノーホワイ」の甘美なギター・ソロが大好きだ。ちなみに、彼の両親は日本人である。彼自身は日系の2世で、井葉吉伸という日本名も持っているそうだ。去年、つじあやのさんとも曲を出している。
怒涛の二枚組みだ。これだけクオリティの高い曲がたくさん一気に聞けるアルバムというのはそうそう無いと思う。以前、苦悩する若者のための音楽としてザ・フーの「四重人格」を紹介したが(これも2枚組み)、このアルバムも若者に絶対お薦めの一枚!
→苦悩する若者(四重人格・さらば青春の光)
ラベル:スマッシング・パンプキンズ つじあやの