2009年04月20日

奇跡の美声?スーザン・ボイル(Susan Boyle)

Susan Boyle(スーザン・ボイル)というおばさん(47歳)の歌声がイギリスで話題になり、さらに日本でも話題になりつつあるようだ。

率直に言って、スーザン・ボイルの歌声は僕の心にはまったく響かなかった。YouTubeの音質が悪いからかと思って、いくつか音質のいいのを探してみたりしたけど無駄だった。声はよく出ていると思うけど、声にあまり表情を感じないし、何より、彼女が背負ってきたものの「深み」を彼女の歌声から聴きとることが僕にはできなかった。好みの問題もあると思うけど。

これは実は、全部「やらせ」なのじゃないかとまで思った。「やらせ」も有りうると思って見てみると、舞台裏の様子や、審査員や聴衆の表情の変化の撮影など、あまりにもうまくできすぎていて怪しい気もしてくる。審査員のコメントは台本通りで、サクラの観客がいるのかもしれない。47になるまでキスもしたことが無いというオバサンが悲願の大スターになるという「感動的ストーリー」にはめられているだけのようにも思えてくる。

しかし少なくとも、YouTubeなどで多くの人がこのビデオを見て彼女の歌声を称賛しているのは事実だ。彼女の歌声に酔いしれている人がたくさんいる。でも、ヤラセと言わないまでも、感動的なストーリーの演出と、聴衆・審査員のすべてが瞬時に陶酔してしまうという映像によって、多くの人が自分の耳で評価する以前に流されてしまうということもありえる(曲のイントロも重要)。だから、このストーリー・演出なしでこの歌声を聞いたとしたら(あるいは彼女の容姿がもう少し美しければ)、果たしてこれほど多くの人がスーザン・ボイルに感動できただろうか、という問いは検討する価値があると思う。

YouTube動画 スーザン・ボイル(Susan Boyle)奇跡の美声

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こういうことは音楽業界ではよくあることだ。メディアの宣伝工作によってそれほどでもないものが売れるということはある(だからこそ宣伝に金をかけるのだ)。また、歌声の良さよりも、曲の歌詞や、その背景となるストーリーで持ち上げられるということもあるだろう(「嘘」「やらせ」は問題だけど、そうでなければ別にかまわない)。最近の日本での例を挙げるとすれば、「千の風になって」の秋川雅史などがその典型だろう。ボーカリストとしては(クラシック歌手としてもポップス歌手としても)あまり評価できないけれど、曲(歌詞)の素晴らしさで話題となり、話題が話題を呼び、ルックスなども手伝ってすごい歌手だという地位を確立した。

歌は歌だけで評価されるべきだという考え方はおかしいのだろう。人間性や背景の物語で人の心をとらえるものも優れているのだ。

ただ、「スーザン・ボイル、奇跡の歌声」と言われると、それはちょっと違うのではないかと馬鹿正直な僕は言いたくなる。もしかすると、僕が彼女の歌にピンと来ないのは、僕自身の容姿がたいして良くないからかもしれない。つまり、僕には「容姿の良くない人間には期待しない」という思い込みが無いから、驚きが生じなかったのかも。むしろ、容姿のさえない人ほど何かしらやらかしてくれるものだと僕は思っている。

だから、YouTubeなどであまりにも大きな話題になっていることや、メディアも彼女を大きく取り上げている現状に、ちょっと違和感を覚えてしまう。「人は見かけによらない」なんていう当たり前すぎるメッセージでここまで盛り上がってしまう世界。この事態に本当にハッピーに浮かれていていいんだろうか?
タグ:動画 YouTube
posted by muse at 20:32| Comment(10) | TrackBack(6) | 洋楽その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は感激しました!
Posted by 金澤 at 2009年04月20日 21:34
金澤さん、どうもありがとうございます。

やっぱり感動した人が多いんでしょうか。とっても取り残されている感があって、罪悪感すら感じてしまうけれど・・・(笑)、そんな風にならなくてもいいはずだ!っていう、半ば強がりな記事です。
Posted by muse at 2009年04月20日 22:15
ポールボッツの時は、鳥肌が立ち涙しましたけど、今回は・・・?
Posted by ともさん at 2009年04月20日 22:55
ともさん

どうもありがとうございます。ポールボッツ(ポールポッツ?)という人が前に話題になっていたんですね。この人のビデオも見ましたが、これは素晴らしいですね〜。真摯!
Posted by muse at 2009年04月20日 23:24
周りの反応の映像は、ちょっとやらせっぽいですよね・・・
彼女が美人だったら、ここまで成功しなかっただろうと思われるところが、皮肉ですよね(苦笑)
でも、これから磨けばまだまだ光ると、好意的に見てあげたい気がしますね。
これは彼女の人生での、ただの最初のステップでしかないのだから・・・
Posted by vivian at 2009年04月21日 08:15
vivianさん、どうもありがとうございます。

番組はかなり念入りに仕組まれた感じがありますね。聴衆の反応もどこまで本当かは疑問です。多くの人に夢を与えたことは事実なので、それをもっと評価してもいいのかもしれませんが、むやみに持ち上げるのは結局「褒め殺し」にすることにしかならない気もします。彼女は愛すべきキャラクターを持っているから応援はしたいですが。
Posted by muse at 2009年04月22日 19:48
私の印象では、「明らか」に演出です。でも「空気」に流され?、自分のブログでは、触れられませんでした。皆が味わった感動は本物ですから、審査員やスタッフは「いい仕事」をしたのでは?(ただしばれたら最悪)、と思っているとこのブログを発見。回りが「仕事」をしすぎて、世界的に有名になってしまったとしたら、本人はかわいそうです。ストレスも溜まるでしょう。museさんと同感です。
Posted by クロボー at 2009年06月05日 05:57
友人に日本での反応を聞かれて検索していてたどり着きました。
スーザンさんはヤラセではないと聞いてます。本当は映像にできないほど、
審査員(特に女性のアマンダさん)や、聴衆もスーザンさんを馬鹿にし、
あざ笑い会場はブーイングの嵐だったとのこと。映像はTV用に都合の
悪いところを全てカットしているため、不自然になってしまったようです。
編集で使える分かり易いリアクションだけをつないだことは演出と言えなくはない。
ただ感動は本物とのことです。まもなくCDが出るそうでアメリカでは
既に予約が続々だそうですよ。他の曲を勧めらyoutubeで聞いてみましたが、
私も彼女の実力は本物だと思います。
Posted by nyao at 2009年07月18日 00:39
自分の耳・感性に自信が無ければ人の操作に乗せられてしまうかもしれませんが、どう聞いてもスーザン・ボイルの声は素晴らしい。「やらせ」は無いでしょう。たしかに歌唱は粗かったが、多少緊張で声が上ずったのでしょう。しかし、会場の聴衆は彼女の第1声を聴いた瞬間に超1級のミュージカル・ヴォイスだと認知した筈。鳥肌が立ちました。
その後の彼女のCDを聴いてみると、実力の高さが理解出来ます。
Posted by 天地創造 at 2014年08月03日 02:28
音楽的な好みの問題もあるんでしょうが、彼女の歌声は「普通」だと思います。声に深みが無い。下手くそだとは言いませんが、音楽界で頭角を現して注目されるほどのものはなかったし、最近の音源を聞いてもあるとは思えません。彼女が売れるようになったのは、やらせ、あるいは演出の効果ではないかという疑いは今でも消えていません。
Posted by muse at 2014年08月04日 10:33
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